大切なことはすべて君が教えてくれた 第7話
『求婚』
夏実(戸田恵梨香)は、教の鶴岡(風間杜夫)をはじめとする
同僚教師たちに、妊娠していること、そして、修二(三浦春馬)とは
結婚せずシングルマザーになることを報告する。
同僚たちは、父親になりたいが資格がない、などと煮え切らない
態度を見せる修二に対し、教師としての自覚はあるのか、と怒りをぶつけた。
そんな中、金子 雅代(能世 あんな)だけは夏実を気遣う言葉を掛ける。
その言葉に涙をこらえる夏実。
「私が、身勝手だったんです。
 柏木先生に妊娠を報告したのは???昨日です。
 結婚を辞めたとき、もう妊娠しているのはわかっていました。
 私が大人なら、すぐにでも結婚するか、子供をあきらめるか、
 決断できたはずです。
 柏木先生にも相談するのが筋でした。
 でも、出来なくて。
 迷っているうちに???自分の体の中で、何かが、
 生まれて変わっていくのを、毎日感じるようになって。
 私だけの、大事な何かのような気がして。
 ???誰にも何も言わず、一人で決めてしまったんです。
 無責任なことをしてしまって、本当に???申し訳ありません。」
を下げる夏実、そして修二。
その日、ひかり(武井咲)は教室に姿を見せなかった。
修二が保健室に行くと、ひかりがいた、
「ごめんなさい。先生のこと試しちゃった。」
「うん。」
「待ってるなんて言われるの、慣れてないから。
 もうしない。」
教室
「来週から面談です。
 そろそろ、進路を、具体的に決めなきゃならない。
 僕は???半年間、君たちのことを見てあげられなかったから。
 この機会に、一人一人の考えを、ちゃんと聞かせてもらおうと思っています。
 なので、君たちが、今思っていることを、出来るだけ詳しく、
 正直に書いて下さい。」
修二はそう生徒たちに告げる。
職員室
「あくまで、二人の問題ということで。
 生徒たちに報告するのは、控えようということになりました。
 ただ、学校は一般社会と違います。
 結婚前の妊娠や、ましてや結婚もせずに、女性が一人で
 育てるという事態は、学校という特殊な社会においては、
 受け入れられないのが現実です。
 上村先生には、2学期いっぱいで産休に入っていただきます。
 生徒たちには、健康上の理由で休職すると伝えます。」と鶴岡。
「はい。」と夏実。
「柏木先生は???これまで通りでお願いします。」
いや。僕だけこれまで通りというわけには。」
「自分が選んだ職業がどういうものか、あなたは現場で感じてください。
 分かりますね?」
「???はい。」
夏実の準備室
「父親になれないかな。」と修二。
「はぁ???。なれない。」と夏実。
「夏実にばかり辛い思いさせて。俺は責任を取るべきだ。」
「???またそうやって。いい人になろうとする。
 周りからがっかりされるのが怖いのね。
 いつも正解を出してきたから。」
「???」
「丸く収めることばっかり考えちゃダメよ。
 ここまでぐちゃぐちゃにしたんだから、最後まで貫こうよ。」
「???」
「求められることを察して、その通りやるのは簡単よ。
 でも、もうそれは終わり。
 修二は今、何をしたいの?」
「???佐伯ひかりの力になってやりたい。」
「???それでいいよ。」
「自分から言わせておいて、本音を聞くと、傷ついてしまう。
 女って???
 バカだ。」
放課後、修二は、ひかりから進路希望に何を書いたらいいかと聞いてみる。
転校先の学校はエスカレーター式に大学に行けるのだという。
「自分の思ってることを書けばいいよ。
 将来の夢でもいいし。」
「夢????考えたことなかった。」
「じゃあ、考えてみたら?
 10年後、何したい?
 どんなふうになっていたい?
 君からそういう話、聞ければいいな。」
「???考えとく。」
「うん。じゃあ。」
「さようなら。
 ???先生は書いたの?」
「え?」
「教師になりたいって。」
「???」
実家を訪れた修二は、博一(春海四方)と育子(見谷悦代)に、
夏実の件を伝えた。
「どうしよう、お父さん。やっぱり謝りに行くのよね?」と育子。
「結婚しないのに子供だぞ!どのツラ下げていけばいいんだ。」と博一。
「私何て言えばいいのよ???。」
「どのツラでもなんでもいいからさ、とにかく一緒に行って謝ってやれよ。」
と兄?孝一(新井浩文)。
「???」
「子供の頃から修二が親に、下げさせたことなんて一度もなかったろ?
 こいつが、いつも、迷惑掛けちゃいけないって、気ぃ回してたから。」
「???」
「やっと親らしいことさせてもらえるんだ。
 行ってやれよ。」
「???」
修二がボロボロになった途端、兄はいい人に。
完璧だと思っていた弟が弱みを見せた時、嫉妬の塊だった孝一は
兄に戻れたのでしょう。
きっとこの二人、子供の頃は仲のいい兄弟だったんだろうな。
博一も育子も動揺を隠せなかった。
そんな博一
たちに、孝一は、いままで修二は親に迷惑をかけた
ことがないのだから、とにかく一緒に行って謝ってやれよ、と声をかけた。
夏実の実家
「夏実の選んだ道は、やっぱり、生徒さんたちには示しがつかない。
 仕事を放り出してわがまま通すんだから、もっと責められても
 いいはずだよ。」と父?克実(新井康弘)。
「分かってる。」
「修二さんんは??どうなの?」と母?圭子(朝加真由美)。
「先生たちが知ってる中で続けなきゃいけないから、大変だと思う。」
「そのぐらい、風当たりが強くてもいいんじゃないか?」
「お父さん。」
「要領よく生きてきたんだろ?人生、そう簡単じゃないんだ。」
「???」
「お父さん自分が大変だったから納得いかないのよ。」と圭子。
「え?」
「うちもね、夏実が出来てから結婚したのよ。」
「え!?」
「まだまだそういうのが許される感じじゃなかったら、
 大変だったの。ね?」
「俺は、おじいちゃんにバチーンとやられたぞ。
 ま、当然だ。
 今だってやっぱり、、順序は守るべきだ。」
「でも、結婚って家族を作るためにするものよ。
 次の世代に、つないでいくのが目的でしょ?
 だったら子供が出来て、責められるなんておかしいじゃない?
 逆に、結婚して何年も子供が出来ないと、もっと責めたてるの。
 世間って勝手よ。ね?」
母の言葉を聞きながら、夏実は3か月前の出来事を思い起こす。
克実や圭子が、夏実の妊娠を知ったのは3ヵ月ほど前のことだった。
夏実は、克実たちに誘われて、海外生活をしていたころに知り合った
山下一家と食事をした。
夏実を、山下家の息子で独身の商社マン?有悟(福士誠治)と
引き合わせるためだった。
両親たちは二人が結婚する話で盛り上がる。
「ごめんなさい。
 私、誰ともおつきあいするつもりないんです。
 私???おなかに子供がいます。」
夏実はその席で、いきなり妊娠していることを告白したのだ。
克実と圭子は、驚きを隠せなかったが、いまはそんな夏実を全力で支える
決意をしていた。
夏実を車で送る父。
「お母さんね、ああやって張り切ってるけど、本当は心配で
 たまらないんだよ。」
「うん。」
「女の人が一人で子供を育てるのは、やっぱりとても大変だと
 思うからね。
 お父さんだってまだ、受け入れたとは言い難い。
 だからお父さんは???たばこをやめた。
 ジムにも行こうと思うんだ。」
「え??」
「生まれてくる子を
大学に入れるまで、少なくとも70までは
 働かなきゃ。
 それに、父親役は、やっぱり、見た目若い方がいいだろ。」
そう言い笑う父。
「親が子を思う気持ちは、こんなに強いんだ。
 私も、二人みたいになれるかな。」
学校
望未(剛力彩芽)は、ひかりが2学期いっぱいで転校することを知る。
新しい場所に行けることは良いと思う、とひかりに言った望未は、
その言葉に自らもきっかけを得て、あることを決意する。
理科準備室
「先生、昨日の答え聞かせてよ。」とひかり。
「ああ。教師になるのが夢だったかってやつ?」
「そう。」
「???どうだろう。何となく、そういう道を選ばされたっていうか。」
「選ばされた?」
「うち、酒屋なんだけど、うちの親、昔から、きっちりとした仕事に
 対する憧れが強くてさ。
 教師になんかなったら、きっと喜ぶだろうなって。」
「優しいんだね。」
「???いや。たぶん違う。」
夏実の言葉を思い出す修二。
「求められることを察して、
 その通りやるのは簡単よ。」
「その方が楽だったんだよ。」
「???」
水槽のメダカを分けるのを手伝うひかり。
「上手いね!」
「金魚すくいでは、負けたことなかったの。」
「誰に?」
「お姉ちゃん。」
「負けず嫌いなんだね。」
「え?」
「あ、いや??ごめん。ごめんね。」
「先生ってカワイイ。」
「あのなぁ。」
「ただの負けず嫌いだったのかな。」
「え?」
「私の、お姉ちゃんに対する気持ちって。」
「???どうだろう。」
「死んじゃった人ってずるいよね。
 いつまでも追いつけない。」
「???もうすぐ、追いつくよ。」
「え?」
「お姉ちゃんの年になったら、きっとわかるよ。
 完璧に見えてた人も、実はそうでもなかったって。」
「???それは、先生のこと?」
「きっついなぁ。」
二人は笑い合う。
「先生、この子たまごつけてる。」
「どこ?」
「ああ、ほんとだ。
 じゃあ後で他の水槽に入れてあげよう。」
「うん。」
職員室
進路調査表を見ていた修二は、あることに気づき中西(西村雅彦)に相談する。
望未のアルバイト先を訪れる中西と修二。
「これ、どういうことだ?」と中西。
望未の進路調査票には『自主退学』と書いてあった。
「ああ。外国に行ってみたいんです。」
「え?」
「中西先生の授業を聞いて、そう思いました。
 世界では、いろんな事が起きている!」
「嘘つけ。サボってばっかりのくせに。」
「ホントだよ
 ???お父さんの居所がわかったの。」
「うん?」
「意外と自由にやってた。
 それなら、私も自由にしていいじゃんって。」
「卒業してからじゃ駄目なのか?」
「卒業する頃には、別のこと考えてるかもしれないもん。
 だったら今しかない。」
「???そうか、分かった。
 じゃあ、まずは、資金を貯めろ。」
「はい。」
「行きたい国、決めろ。
 後は???一緒に考えてやる。」
病院
「じゃあ、これ、紹介状とカルテの写し。
 こっちはよく読んで、記入して、後でナースステーションに
 出しといてね。」と亜弥(内田有紀)。
「ありがとう。」とひかり。
「たまには、連絡ちょうだいね。」
「やだな。病院変わるだけだよ。亜弥さんとは」これまで通りだよ。」
「うん。これから私も、自立しなきゃね。」
「会いにいけばいいのに。」
「???え?」
「娘さんに。」
「???」
「会いたい人が生きてるなら、会いに行けばいいのに。」
「???うん。そう思って、行ったのよ。4年前のあの日。
 でも、会えなかった。
 あの事故は、会っちゃいけないサインだと思った。
 私が娘に会おうとしたから、事故が起きたんじゃないかって、」
「そんなことあるわけない!」
「???そうね。
 でも、あの日以来、あなたと娘を、重ねてきてしまった。」
「???もういいよ。分かってる。」
「???ありがとう。」
「うん。」
そして???。
ナースステーションに立ち寄った帰り、ひかりは亜弥と夏実が
電話で話しているのを偶然聞いてしまい、夏実の妊娠を知ってしまう。
あくる日、ひかりは、修二にそのことを切り出した。
「???上村先生って、妊娠しているの?」
「???ああ。」
「先生の、子供だよね。」
「そうだ。」
「???結婚するの?」
「???しない。」
「上村先生が、一人で産むの?」
「??ああ。」
「???」
「軽蔑していいよ。最低だよ。
 男としても、教師としても。
 ???こんな教師が、生徒に何を教えるって言うんだろうな。」
「何それ。
 何バラしてんの?私生徒だよ!」
「???そうだったな。」
「上村先生が必死に隠してること、何で私にバラすの?」
「???ほかの生徒には言わないよ。」
「???」
「君には言える。何でだろうな。」
「先生???最低だよ!」
ひかりはそう吐き捨て、その場を去った。
このシーンが腑に落ちない。
何で修二はひかりに真実を伝えてしまったのか。
そして何でひかりが激怒するのか。
その日、ひかりは、教室に行こうと
はせず、ずっと保健室にいた。
昼休み、保健室に賢太郎(中島健人)がやってくる。
「て???転校するの?」
「うん。」
「そ??そっか。
 ???僕???君のこと好きなんだ!」
「???」
「え??いや??。」
「私が、こんなだからでしょう?」
「え?」
「変な病気で、問題起こして、クラスでも浮いてて、
 じきに転校する可哀想な子だからでしょ?」
「???」
「同情ならやめてよ。」
「???」
「それとも妥協?
 私が、クラスの男子全員のあこがれの的だったら、告白した?」
「???」
「しないよね。
 手の届かない女のとこにはいかない。
 この程度ならって思ってるんでしょう!?
 そんな気持ちなら???いらない。」
「???そっか。そうかもしれない。
 ぼ、僕は???ひどいやつだ。
 ごめん。
我们结婚了李弘基藤井美菜 ???そうだよね。自分に自信がないから、
 どっかで、この程度ならって、思ってるよ。
 失礼だよね。
 ???でも??じゃあ、この気持ちは嘘なの!?
 君のことを考えると、苦しくなる。
 この気持ちは、ここにあるんだよ!」
「???何言ってんの!?訳わかんないよ!!」
「ごめん??ごめん。」
ここでもひかりがなぜ激怒するのかよくわからず。
自分のことに自信を持てないから、好きと言ってくれても
素直に受け止められない?
そして賢太郎も、ひかりのことをこの程度って思ってるって
認めちゃう?
最後の絶叫は良かったけれど???。
職員室
テストの採点をする中西。
「園田のやつ授業に出ないくせに満点取って、
 俺をバカにしてんのか?」
「中西先生と園田って、いいですよね。」と修二。
「うん?」
「どうしたら、生徒とそんな関係を築けるんでしょうか。
 中西先生はすごい。」
「人畜無害ってことですよ。」
「え?」
「園田は100%私を男だと思っていない。
 教師はそういう魅力がない方がいいんです。
 イケメンが損をする唯一の職業。
 だから???柏木先生のこと本当はさほど羨ましくないんです。
 フフフ。
 ???人と人に、なればいいんですよ。」
「???」
人と人、かぁ。いいなぁ、中西先生。
放課後、ひかりは、夏実のもとを訪れた。
「そう。柏木先生はあなたに言ったの。」
「はい。」
「???あなただから言ったのかなぁ。
 嬉しかったでしょ?」
「え??」
「君には言えるって、そう言われたくて聞いたんでしょ?
 言われて嬉しかったけど、苦しくなった。
 それで私の所に来た。違う?」
「???」
「私ね、あなたに感謝してる