(一)教育大綱・4級試験大綱に示されている作文能力
(1) 大学2年になると、学習した技術・知識・などを駆使して、1時間以内に600-800字の文章を書く能力が求められる。その中には、原稿用紙の形式を正確に使いこなすこと、文章が文法的に正確であること、それとともに文章がなめらかであることなどが要求される。
この目的を達成するためには、語彙の的確な選択、論理性、文法の正確さが必要とされる。
(二) 作文試験問題のポイントと類型
(1) 作文能力は、読む、書く、聞く、話すなどの能力を合わせた総合能力である。「話せる」ためにはまず「聞ける」ことが必要である。また、「書ける」ためには「読める」ことが必要である。
「書く」ことを除外した日本語学習は、どんなに話せても、初級入門程度にとどまるといえる。学習順序としては、「聞く」→「話す」→「読む」→「書く」で進められていく。
(2) 作文の学習順序として、次の内容が考えられる。
1 言語音を聞き取れる → ② 聞き取った音を文法、語彙に照らし合わせて理解できる → ③ 表記法(漢字・平仮名・片仮名・句読点)を習得する。→ ④ 書かれた文章の読解ができる → ⑤ 口で自分の考えを発表できる → ⑥ 自己の考えを論理的に整理できる。
2 作文の段階的学習
ア 短文を作る訓練
イ 文の完成の練習(例 たとえ雨が降っても ~) 呼応/慣用の習得
ウ 簡単な説明文 (例 ~というのは~が~ものです(ことです)などの繰り返し)
エ モデル文の模倣 すぐれた作文、またはレベルの高い作文の模倣をして文章を書く訓練をする。
オ 文体の書き換え訓練 (例 会話文→ 散文 散文→ 会話文) 敬体文→ 常体文→ 敬体文 )
3 4級試験の類型
ア 自分または自分の周囲などに関する問題 「私の~」 自分を見つめる問題
例 私の~ 家 家族 友人 学校 故郷 村 大学など → 紹介文 具体性が
例 私の~ 夢 趣味 長所 短所 理想 将来 → 性格・人生観
動物 ペット
上記の類型の作文の要点は具体性と個性である。対象が生き物の場合(家族・友人・動物・ペットなど)、その全体像を述べ、その中での外見的な特徴を述べる。次に性格を書く。この場合、その性格を示す具体的なエピソードを付け加える。そして作者がその対象に対して抱いている感情を伝える。
例 私の好きな~ 言葉 本 歌 季節 仕事 職業 → 傾向・人生観
私の嫌いな~
「私の好きな~」「私の嫌いな~」というタイトルは、作文の場合にかかわらず、コミュニケーションの場合、今後も必ず必要となるものである。そのため、現時点における「好きな言葉 -名言」「好きな本―愛読書」「 好きな歌 -愛唱歌」「好きな季節 ― 春夏秋冬」「仕事・職業」などを準備しておくとよい。
この類型の作文は作者が明確な視点を持って生活できているか、自分なりの人生観を伝えられるかを見るものである。文章に書く場合、対象をはっきり書き、それが好きになった(嫌いになった)動機や理由、それにまつわるエピソードを書いていく。それによって作者の「暖かいほのぼのとした性格」「知性にあふれ鋭い感性の持ち主」「穏やかでちょっとのんびりした性格」などのそれぞれの個性が浮き彫りになれば成功である。
イ 経験を書くもの 「 ~ こと」
例 私がこれまでに感動したこと 近頃感じたこと 私が誇りに思っていること
大学生活の苦しいこと 大学生活に期待すること 友達から学んだこと
ボランティアで経験したこと 私が熱中していること 今まで苦しいと思ったこと
この類型の作文はこれまでの人生経験を見るものであるから、実際体験ということが前
提である。「書く」という行為は、大きく言えば、自分の人生を語ることであるから、「体験」ということが重要な要素になる。自分で実際に体験したことのない事柄に対しては、なかなか書けない。ではどうすればよいか。それは、他人の体験を知ることである。そのためには読書量を増やすことしかない。
生きた体験を述べるという文章方法は、まずリアルであること、読み手の目の前に浮かんでくるような表現が必要である。そのためには、発生した時間、登場人物、事柄の経過・推移、結果、自分の受けたショックや影響などを生き生きと描写する。ただし、350~400字ではそれらを詳細に書くのは不可能であるから、ポイントを絞って要点を書く技術が必要となる。
テーマ、タイトルに対して具体例を述べるとともに、自己の観点、考え方、感想、主張などを明確に示すことが必要である。
ウ 手紙文
例 高校時代の恩師への近況報告 お礼の手紙
手紙文は下記の形式が守られていること、敬語のレベルは適当かの2点を抑えてあれば問題はない。
手紙文の形式例 ※( )は書く必要はない。
拝啓 ←( ① 冒語 ) ようやく厳しい寒さも和らいできました。 ← ( ② 季節のあいさつ) いかがお過ごしでいらっしゃいますか。 ← ( ③ 前づけ 相手の様子を聞く ) 私も毎日元気で勉強に励んでおりますのでご安心ください。( ③ 前づけ 自分の報告 ) さて、先日北京訪問の折にはいろいろお世話になりありがとうございました。おかげさまで貴重な体験ができました。中国の目覚ましい発展、オリンピックの成功、おいしい食べ物、毎日が興奮の連続でした。 15日無事東京に帰り、翌日からまた忙しい毎日が始まりました。 ← ( ④ 主文 ) 春といえまだまだ寒い日が続いております。末筆ながら、くれぐれもご自愛ください。 ← ( ⑤ 結びの挨拶) ご家族の皆様にもよろしくお伝えくださいませ。 敬具( ⑥ 結語) 2月10日 ← ( ⑦ 日付 ) 田中一郎 ( ⑧ 署名 ) 山田太郎様 ← ( ⑨ 宛名 ) | 四级作文多少分
注意点
1 手紙文は必ず敬体文で書くこと。
2 上記の①~⑨の形式を守ること。
1 手紙文の基本形 前文 ― ① 冒語 ② 時候の挨拶 ③ 前づけ
主文 ― ④
末文 ― ⑤ 結びの挨拶 ⑥ 結語
後付け ― ⑦ 日付 ⑧ 署名 ⑨ 宛名
2冒語と結語の組み合わせ
冒語が「拝啓」の場合、 ⑥の 結語は必ず「敬具」で終わること。
普通の場合 拝啓 ― 敬具 丁寧な場合 謹啓 ― 敬白
急ぎの場合 急啓 ― 早々 前文省略の場合 前略 ― 草々
返信の場合 拝復 ― 敬具
3 宛名 個人 → ~ 様 ~ 殿 ~ 先生 ~ 君 ~ 大兄
集団 → ~ 御中 ○○株式会社 御中
エ 論説文
例 A タイトルを出して論説文を書かせる問題
例 日本の豊かさは本物か 中国における就職活動 環境保護 金融危機
北京オリンピックで得たもの インターネットの功罪 親子関係 ゴミ問題
例 B 対立する意見を出して、反対意見か賛成意見を選択して書かせる問題。
論説文で重要な点は次のとおりである。
1 文体の統一
○文章語を使うこと。特に接続詞に注意する。(やっぱり→やはり 一番好きだ → 最も好きだ)
○縮約形は使わない。 死んじゃった(死んでしまった) 忘れちゃった(忘れちゃった)
○擬声語・擬態語は使わない。(どんどん発展する→ 急速に発展する)
○ 語尾に注意する (~ だ。~ である。 ~ なのだ。)
○ 論説文の場合、漢語を多く使用する。
2 論理性が一貫していることが重要である。
論説文はタイトルの中に問題点や矛盾点があり、それが解決されるのを期待するものである。
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