川端康成『伊豆の踊り子』美意识——その伝統性と現代性を中心に——
目次
要旨 (ii)
摘要 (iii)
はじめに (1)
第一章『伊豆の踊り子』に関する作品の成立 (2)
第一節先行研究の現状 (3)
第二章『伊豆の踊り子』における伝統性 (7)
第一節自然観と日本伝統文学 (7)
第二節女性観と伝統性 (12)
第三節悲哀美と伝統性 (17)
第三章『伊豆の踊り子』における現代性 (24)
第一節川端康成と表現为義 (24)
第二節「意識の流れ」と「伊豆の踊子」 (26)
第四章伝統性と現代性の融合 (32)
結びに代えて (34)
参考文献資料一覧 (35)
付録一、川端康成著作目録 (37)
付録二、川端康成年譜 (40)
謝辞 (46)
要旨
『伊豆の踊子』は川端康成の出世作である。それは東西文学の比較と交流の中で生まれたものである。
川端はこの作品に、『源氏物語』を典型とする日本伝統文学から栄養を汲み取り、さらに西洋文学の小説技法を取り入れた。伝統と現代はもともと対照的なものであるが、川端はその両者を巧みに調和させたのである。
筆者は本論文で、川端康成の人と、その『伊豆の踊子』に関する先行研究を踏まえ、『伊豆の踊子』における伝統性と現代性の問題を分析研究する。
第一章では、『伊豆の踊子』の創作背景と、川端文学における位置づけを紹介する。先行研究を分析して、その問題点と本論文で解決したい問題を述べる。
第二章では、『伊豆の踊子』の伝統性を考察する。まず自然観の視角から、この作品と伝統文学との関係を考察する。次はこの作品に込められた女性観を考察し、それと伝統文学との関係を分析する。それから、この作品に溢れている悲哀美と伝統文学の「もののあわれ」との関係を探る。
第三章では、『伊豆の踊子』の現代性を考察する。まずこの作品に取り入れられた新感覚派の手法、つまり表現为義を考察する。次は西洋から取り入れた「意識の流れ」がこの作品にどのように表現されたかを分析する。その二つの面から、この作品と現代文学の関係を探る。
結論の部分では、伝統性と現代性は『伊豆の踊子』で、どのように調和されたか、について検討する。この作品が東西融合の完璧なもので、川端文学の特質を備えていることを裏付けようと思う。
キーワード川端康成、『伊豆の踊り子』、伝統性、現代性、表現为義
摘要
川端康成走了一条独特的文学之路。他一直探究日本传统文学的精髓和西方文学的现代性。在传统文学的基础上,他引入西方文学的技巧和叙述方法,追求两者在自己作品中的融合。川端的作品,无疑是这种文学思想的载体。
《伊豆的舞女》是川端康成的成名作,它是东西文学比较与交流的产物。在这部作品中,他从《源氏物语》等日本传统文学中汲取营养,更是引入了西方文学的小说技巧。传统和现代原本是对立的,但川端却在自己作品中达成了二者的统一。
在本论文中,笔者将以川端康成其人以及《伊豆的舞女》的先行研究为基础,对其中的传统性和现代性问题,做一详细的分析研究。
第一章,首先介绍《伊豆的舞女》的创作背景,及其在川端文学中的地位。分析先行研究,出先行研究中的问题,说明本论文要解决的问题。
第二章,分别从三个角度考察《伊豆的舞女》中的传统性。首先从自然观的角度,阐述该作品与传统文学的关系。其次,考察作品所体现的女性观,分析其与传统性的关系。最后,探究作品中洋溢的悲哀美
与传统文学“物哀”之间的关系。
第三章,从两个方面考察《伊豆的舞女》中的现代性。首先考察作品中新感觉派文学的手法,即“表现主义”在作品中的体现。然后,分析西方小说技巧“意识流”在作品中的表现。从而阐明该作品与现代文学的关系。
在结论部分,总结《伊豆的舞女》是怎样融合了传统性和现代性的。《伊豆的舞女》是一部东西合璧的完美作品,笔者想要证明川端文学特征之所在。
关键词:川端康成;《伊豆的舞女》;传统性;现代性;表现主义
はじめに
はじめに
『伊豆の踊子』は、川端康成による文壇へのデビュー作である。同時に、その処女作品にも挙げられる。この作品が発表された時は、新感覚派文学運動の最盛期であった。しかし、川端はこの時期、自分なりの文学の道を思索した。この『伊豆の踊子』は、東西文学の比較と交流の中で生まれたものである。この作品で、川端は『源氏物語』を典型とする日本伝統文学から栄養を汲み取り、さらに西洋文学の小説技法を取り入れた。伝統と現代はもともと反対しているものであるが、川端はこの作品で
、両者をたくみに調和させた。だから、この作品は民族的な個性を持って伝統の踏襲があるが、伝統の束縛がなかったと言える。
香椎由宇それでは、この作品は日本の伝統文学から、どんなものが受け継がれたか。その伝統性がどのような形で映されたか。どんな西洋小説技法が取り入れられたか。その現代性はいったい、作品のどこに潜んでいるか。また、伝統性と現代性はこの作品でどのように調和されたのか。以上のような問題意識を持って、筆者は本論文で先行研究を踏まえ、作品内容に密着した上で論述をしてみたいと思う。
[1]吉村貞司『川端康成、美と伝統』、学芸書林、1968(昭和43)年、263ページ。